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成功しているBtoB企業のマーケ組織図と業務分担の具体例

投稿日
2026.2.3
更新日
2026.2.3
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BtoB企業においてマーケティングの重要性が高まる一方で、「組織をどう設計すればよいのか分からない」「広告や施策は回っているが、成果が再現できない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。特に製造業や受注単価の高いBtoBビジネスでは、個人のスキルや属人的な判断に依存したマーケティング体制が限界を迎えやすい傾向があります。

本記事では、実際に成果を出しているBtoB企業のマーケ組織の考え方と、業務分担の具体例をもとに、「なぜその組織設計が機能しているのか」「自社にどう当てはめればよいのか」を解説します。単なる理想論ではなく、現場の制約や社内事情も踏まえた実践的な内容を中心にお伝えします。

なぜBtoBマーケティングでは「組織設計」が成果を左右するのか

BtoBマーケティングの成果は、施策単体の巧拙だけで決まるものではありません。広告、コンテンツ、MA、営業連携といった複数の要素が連動して初めて、MQLからSQL、そして受注へとつながっていきます。そのため、誰が・どこまで・どの責任を持つのかが曖昧な組織では、必ずどこかでボトルネックが発生します。

実際、弊社PromotionInHouseが支援してきたBtoB企業の中で、「施策は増えているのに成果が伸びなかった組織の共通点」を見ると、多くの場合、問題はツールやノウハウ以前に「役割設計」にありました。

特にインハウス化を進めている企業ほど、代理店任せだった時代の延長で業務を分担してしまい、意思決定と実行の責任が分散しがちです。これが、改善スピードの低下やKPIの形骸化を招く大きな要因になります。

以下は各種名称と説明文になります。こちらの定義を一致させることがまず必要です。

名称 説明
MQL マーケティング活動によって獲得し
自社プロダクトの導入便益が理解され
商談化しやすいと判断できるリード
SQL 営業チームがアプローチする
準備が整ったリード
商談単価 商談を獲得するためにかかるコスト
CAC 新規顧客を獲得するためにかかるコスト

成果を出しているBtoB企業に共通するマーケ組織の基本構造

成果を上げているBtoB企業のマーケ組織を見ると、規模や業界に関わらず、いくつかの共通した構造が存在します。それは「役職が細かく分かれている」ことではなく、「機能ごとの責任範囲が明確」である点です。

たとえば、戦略設計とKPI管理を担う役割と、広告運用やコンテンツ制作といった実行を担う役割は、意図的に切り分けられています。これは人数が少ない組織でも同様で、1人が複数の役割を兼務していても、「今どの帽子をかぶっているのか」が明確になっています。

たとえば、従業員100名規模のBtoB企業では、マーケ責任者が担うのは「どの市場・どの顧客セグメントに注力するか」「KPIをどこに置くか」といった意思決定までの場合が多いです。 一方で、広告の入札調整やクリエイティブ改善、コンテンツテーマの細かな選定といった実行レベルの判断は、担当者に委ねられています。 この線引きを明確にしたことで、現場はスピード感を持って施策を回せるようになり、責任者は全体最適の視点で改善判断に集中できる体制が構築されます。

このような構造があることで、施策の成否が個人の感覚ではなく、組織として検証・改善できる状態が生まれます。

具体例①:少人数BtoB企業のマーケ組織と業務分担

従業員数50名未満のBtoB企業では、マーケティング専任者が1〜2名というケースも珍しくありません。このような環境で成果を出している企業は、「全部を完璧にやろうとしない」点が特徴的です。

たとえば、マーケ責任者はKPI設計、優先順位付け、営業部門とのすり合わせに集中し、広告運用や記事制作の実作業は外部パートナーやツールを活用しながら進めます。ただし、丸投げではなく、判断軸と評価基準は必ず社内に残します。

重要なのは人数ではなく、「判断と責任の所在」を曖昧にしないことです。

具体例②:マーケ部門を立ち上げた中堅BtoB企業のケース

マーケ部門を新設したばかりの中堅BtoB企業では、業務分担が形骸化しやすい傾向があります。役職名はあっても、実際には全員が場当たり的に施策を回している状態です。

成果を出している企業では、最初から完璧な組織図を作るのではなく、「フェーズごとに役割を変えていく」前提で設計されています。立ち上げ期は獲得と検証に集中し、一定の再現性が見えてきた段階で、運用や改善の役割を切り出していきます。

実際に私たちが関わった中堅BtoB企業のプロジェクトでも、立ち上げ初期は「全員が何でもやる」状態でした。 広告、コンテンツ、MA設定を同じメンバーが兼務していた結果、施策の良し悪しが検証できず、数値が伸びても再現できない状況に陥りました。 そこで一度立ち止まり、「今は獲得検証フェーズ」と定義したうえで、1名を獲得施策の意思決定役、他メンバーを実行と検証に集中させる形に役割を再定義したところ、KPIの改善要因が明確になり、組織として立て直すことができました。

組織図

マーケ組織を仕組み化するために欠かせない3つの視点

マーケ組織を属人化させず、再現性のある状態にするためには、「誰がやるか」以上に「どう判断するか」を言語化する必要があります。

まず一つ目は、KPIの定義を営業と共有することです。MQLやSQLの基準が曖昧なままでは、どれだけ組織を整えても成果は安定しません。

二つ目は、意思決定プロセスの明確化です。施策の中止や予算配分の変更を、誰がどの数字をもとに判断するのかを決めておくことで、スピードと納得感が生まれます。

三つ目は、ナレッジの蓄積方法です。Notionやスプレッドシートなど、特別なツールでなくても構いませんが、「なぜその判断をしたのか」が後から追える形で残っていることが重要です。

実際の運用では、KPIは複雑なダッシュボードにせず、「営業と共通で見る1枚のシート」にまとめています。 上段にMQL・SQL・受注数といった成果指標を置き、下段に広告・コンテンツ・メール施策などの打ち手を紐づける構成です。 議事録についても、事実(数値)・判断・次アクションを分けて記録することで、「なぜその判断に至ったのか」を後から追えるようにしています。

「KPIの定義共有」「明確な意思決定プロセス」「ナレッジの蓄積」

よくある失敗パターンとその回避策

多くのBtoB企業が陥りがちな失敗は、「組織図を作ったことで安心してしまう」ことです。役割を決めただけで、実際の業務や評価が変わらなければ、現場の動きは何も変わりません。

また、インハウス化を急ぎすぎて、経験不足のまま重要な判断を現場に委ねてしまうケースも見られます。これは、短期的にはコスト削減に見えても、中長期的には大きな機会損失につながります。

まとめ:組織設計は「完成させるもの」ではなく「育てるもの」

BtoBマーケティングにおける組織設計は、一度作って終わりではありません。事業フェーズや市場環境の変化に応じて、役割や業務分担を見直し続ける必要があります。

重要なのは、完璧な組織図を目指すことではなく、「成果につながる判断が、組織として再現できているか」という視点です。その状態を作るために、インハウス化支援や外部の知見を活用することは、決して遠回りではありません。

もし自社のマーケ組織に少しでも違和感を感じているのであれば、それは見直しのサインかもしれません。

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著者情報

落合 雅人

Masato Ochiai

落合 雅人

株式会社PromotionInHouse 取締役COO

株式会社PromotionInHouseにてWebマーケティングのインハウス化支援事業を展開。デジタルマーケティング、チームマネジメント、事業開発等のプロフェッショナル。