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展示会フォローアップ完全ガイド|成約率を上げる手順と実践テクニック

投稿日
2026.2.12
更新日
2026.2.12
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展示会フォローアップとは?重要性と成功企業の共通点

展示会フォローアップとは、展示会で獲得した名刺や見込み客情報に対して、終了後に継続的にアプローチを行い、商談や成約につなげる一連の営業活動を指します。展示会では多くの企業が多額の費用と人的リソースを投入しますが、その投資を回収できるかどうかは、実は展示会後のフォローアップにかかっています。

多くの企業が展示会当日の集客に注力する一方で、終了後のフォローアップを軽視しがちです。しかし、展示会の真の価値は「名刺を集めること」ではなく、「集めた見込み客を顧客に転換すること」にあります。適切なフォローアップ戦略を実践する企業とそうでない企業では、最終的な成約率に3倍以上の差が生まれることも珍しくありません。

フォローアップが展示会ROIを左右する理由

展示会への出展には、ブース設営費、人件費、資料制作費など、数十万円から数百万円のコストがかかります。しかし、このコストに見合うリターンを得るためには、展示会当日だけでなく、その後のフォローアップが不可欠です。統計によれば、展示会で名刺交換した見込み客のうち、実際に商談に進むのはわずか2〜5%程度とされています。

この数字を10%、20%と高めていくのがフォローアップの役割です。展示会では多くの来場者が「情報収集」の段階にあり、即座に購買決定をすることは稀です。適切なタイミングで適切な情報を提供し、関係性を築いていくことで、初めて展示会への投資がビジネス成果として結実します。フォローアップの質が、展示会ROIを大きく左右する決定的要因なのです。

放置すると起こる3つの機会損失

展示会後のフォローアップを怠ると、以下の3つの重大な機会損失が発生します。

  • 記憶の劣化による関心の喪失:展示会では多くのブースを訪問するため、来場者の記憶は数日で急速に薄れます。1週間も放置すれば、あなたの会社のことはほとんど忘れられてしまうでしょう。初期の関心が高かった見込み客でも、フォローがなければ他社に流れてしまいます。
  • 競合他社への流出:展示会で名刺交換した見込み客は、競合他社とも接触している可能性が高いです。フォローアップが遅れると、迅速に対応した競合に先を越され、商談機会を失います。特に購買意欲の高い見込み客ほど、早く動いた企業を選ぶ傾向があります。
  • 情報の散逸と組織的な機会損失:担当者個人が名刺を持ったまま放置すると、貴重な見込み客情報が組織で共有されず、営業機会が失われます。また、担当者の異動や退職により、情報そのものが消失するリスクもあります。

成功企業が実践している基本原則

展示会フォローアップで高い成果を上げている企業には、共通する基本原則があります。まず「スピード」です。展示会終了後48時間以内に初回接触を行うことを徹底しています。次に「個別化」で、すべての見込み客に同じメッセージを送るのではなく、関心度や課題に応じてアプローチを変えています。

さらに「継続性」も重要な原則です。1回のメールで終わらせず、数週間から数ヶ月にわたって価値ある情報を提供し続けます。そして「測定と改善」のサイクルを回し、開封率、返信率、商談化率などの指標を追跡し、PDCAを回しています。これらの原則を組織的に実践することが、展示会フォローアップ成功の鍵となります。

展示会前から始まるフォローアップ戦略の全体設計

効果的な展示会フォローアップは、実は展示会が始まる前から設計しておく必要があります。当日バタバタと名刺を集めて、後から「どうフォローしよう」と考えるのでは遅すぎます。展示会前の準備段階で、フォローアップの仕組みを整えておくことが、高い成約率を実現する第一歩です。

事前準備を怠った結果、名刺は大量に集まったものの、誰が何に興味があったのか分からず、全員に同じメールを送るだけで終わってしまうケースが多く見られます。これではせっかくの見込み客を活かすことができません。戦略的なフォローアップには、展示会前からの計画的な準備が不可欠なのです。

展示会前に準備すべき5つのフォロー体制

展示会前に整えておくべきフォロー体制は以下の5つです。

  • 役割分担の明確化:ブースでの対応、名刺のデータ化、初回フォロー、商談設定など、誰が何を担当するかを事前に決めておきます。特に展示会終了直後は混乱しやすいため、明確な責任分担が重要です。
  • フォローメールテンプレートの準備:お礼メール、資料送付メール、商談依頼メールなど、パターン別のテンプレートを事前に作成しておきます。これにより迅速な対応が可能になります。
  • 送付資料の準備:製品カタログ、事例集、技術資料など、見込み客の関心に応じて送付できる資料を複数用意しておきます。デジタルとアナログ両方を準備すると効果的です。
  • スケジュールの確保:展示会終了後の数日間は、フォローアップ業務を最優先できるよう、他の業務を調整しておきます。この期間の迅速な対応が成果を大きく左右します。
  • ツールとシステムの準備:名刺管理ツール、CRM、メール配信システムなど、必要なツールを事前にセットアップし、操作方法を確認しておきます。

ヒアリングシートとスコアリング基準の作成

展示会ブースでの会話内容を効率的に記録し、後のフォローアップに活かすために、ヒアリングシートを事前に準備しておくことが重要です。シートには、会社名、担当者名、部署、連絡先といった基本情報に加えて、「現在の課題」「興味のある製品・サービス」「導入時期」「予算感」「決裁権の有無」などの項目を含めます。

さらに、見込み度合いを判断するスコアリング基準も事前に設定しておきます。例えば、「3ヶ月以内に導入予定で予算も確保済み」ならSランク、「半年以内に検討したい」ならAランク、「情報収集段階」ならBランク、「将来的に関心がある程度」ならCランクといった具合です。この基準を明確にしておくことで、展示会終了後の優先順位付けがスムーズになります。

会期中の情報収集と記録のポイント

展示会当日は多くの来場者対応に追われるため、情報収集と記録の仕組みを工夫する必要があります。名刺の裏面に簡単なメモを書き込む、スマートフォンで音声メモを残す、専用のアプリで即座に情報を入力するなど、現場で実践可能な方法を選びましょう。

記録すべき重要情報は、相手の課題やニーズ、会話の中で示された関心のポイント、次のアクションとして約束したこと、印象に残った発言などです。これらの情報が、後のフォローアップで「あの時お話しされていた〇〇の件ですが」といった個別化されたアプローチを可能にします。ブーススタッフ全員が同じフォーマットで記録できるよう、事前にトレーニングしておくことも効果的です。

展示会直後48時間の初動対応|名刺整理とリード分類の実践手順

展示会が終了してからの48時間は、フォローアップ成功の最重要期間です。この期間内に初回接触を行うことで、来場者の記憶が鮮明なうちに関係性を構築でき、成約率が大きく向上します。逆に、この黄金期間を逃すと、競合他社に先を越されるリスクが高まります。

48時間以内の初動対応では、名刺のデータ化、リード分類、情報共有、初回メール送付という4つのステップを迅速に完了させる必要があります。この作業を効率化するための仕組みづくりが、展示会フォローアップの成否を分けるポイントとなります。

名刺を即座にデータ化する効率的な方法

大量の名刺を手作業で入力していては時間がかかりすぎます。名刺管理アプリのスキャン機能を活用すれば、スマートフォンで撮影するだけで自動的にデータ化され、CRMやExcelに取り込むことができます。代表的なツールとしては、Sansan、Eight、CamCardなどがあり、精度も年々向上しています。

データ化の際は、名刺裏面のメモや会話の記録も一緒に入力することが重要です。「〇〇に課題を感じている」「△△の導入を検討中」といった情報が、後のフォローアップで大きな差を生みます。展示会終了後、できれば当日中、遅くとも翌日までには、すべての名刺をデジタルデータ化し、チーム全体で共有できる状態にしておきましょう。

見込み度合い別のリード分類基準(S・A・B・C)

すべての見込み客に同じ対応をするのは非効率です。限られたリソースを最大限に活かすため、見込み度合いに応じてリードを分類します。一般的な分類基準は以下の通りです。

  • Sランク(今すぐ顧客):3ヶ月以内に導入・購買予定があり、予算も確保済み。決裁権者または決裁に強い影響力を持つ。具体的な商談を希望している。
  • Aランク(そのうち顧客):半年以内に検討予定があり、関心度が高い。予算や決裁プロセスはこれから。追加情報を求めている。
  • Bランク(まだまだ顧客):1年以内に検討の可能性があるが、現時点では情報収集段階。課題は認識しているが、優先度は中程度。
  • Cランク(そのうち顧客):現時点では具体的な導入予定はないが、将来的に関心がある。長期的な関係構築が必要。

この分類基準に基づいて、各リードにランク付けを行い、優先順位を明確にします。Sランクには即座に電話フォロー、Aランクには個別メールと資料送付、B・Cランクにはメールマーケティングといった具合に、対応方法を変えていきます。

ランク 特徴 導入時期 対応方法
Sランク 課題が明確で、予算・決裁権も確定している最重要案件 3ヶ月以内 即日~3日以内に営業が直接訪問または個別商談を設定
Aランク 前向きな検討姿勢があり、具体的な見積りやデモの要望がある 6ヶ月以内 1週間以内に詳細資料送付と、電話・オンラインによるヒアリング
Bランク 課題感はあるが、情報収集段階で具体的な計画はこれから 1年以内 定期的なメルマガ配信やセミナー案内によるナーチャリング(育成)
Cランク 挨拶のみ、またはノベルティ目的。現時点でのニーズは低い 未定・情報収集 お礼メールのみ送付し、中長期的なリストとしてデータベース管理

営業とマーケティングの情報共有体制

展示会で得た情報を営業部門とマーケティング部門で適切に共有することが、効果的なフォローアップには不可欠です。よくある失敗は、マーケティング部門が展示会を企画・実施したものの、得られた見込み客情報が営業に引き継がれず、放置されてしまうケースです。

理想的な情報共有体制では、CRMやSFAなどの営業支援システムを活用し、リアルタイムで情報を同期します。各リードのランク、会話内容、関心事項、次のアクション予定などを一元管理し、営業担当者が誰でもアクセスできる状態にします。また、週次や月次でフォローアップ進捗会議を開催し、商談化状況や課題を共有することで、組織全体でPDCAを回すことができます。

お礼メールの最適な送信タイミングと内容

初回のお礼メールは、展示会終了後24時間以内、できれば当日中に送信するのが理想的です。早ければ早いほど、来場者の記憶が鮮明で、印象に残りやすくなります。ただし、展示会最終日の夜に送ると、翌日の朝には埋もれてしまう可能性があるため、翌日の午前中に送るのも効果的です。

お礼メールには、「〇〇についてお話しできて嬉しかったです」といった具体的な会話内容への言及を含めることで、大量に届くであろう一斉送信メールとの差別化を図ります。また、約束した資料の添付や、相手が関心を示した情報へのリンクを含めることで、実用的な価値を提供します。件名は「【〇〇展】お立ち寄りありがとうございました|△△株式会社」など、どの展示会のお礼かが明確に分かるようにしましょう。

見込み度別フォローアップの具体的アプローチ手法

リードを分類したら、それぞれの見込み度に応じた最適なアプローチを実施します。すべての見込み客に同じメールを送るのではなく、相手の状況や関心度に合わせてカスタマイズすることで、反応率と商談化率を大幅に向上させることができます。

ここでは、S・A・B・Cの各ランク別に、どのようなタイミングで、どのような手段で、どんな内容のアプローチをすべきかを具体的に解説します。それぞれのランクで求められる対応の濃淡を理解し、限られたリソースを効果的に配分することが重要です。

【Sランク】今すぐ顧客への電話フォローと商談設定

Sランクの見込み客には、メールだけでなく電話でのフォローを優先します。展示会終了後、可能であれば当日中、遅くとも翌営業日には電話をかけ、展示会での会話を踏まえた具体的な提案を行います。「先日お話しされていた〇〇の課題について、詳しくお聞かせいただけませんか」と切り出し、商談の日程調整につなげます。

電話が繋がらない場合でも、複数回トライし、留守番電話にメッセージを残すか、電話した旨をメールで伝えます。Sランクは最も成約可能性が高いため、他の業務よりも優先し、1週間以内に必ず商談を設定することを目標とします。初回商談では、相手の具体的な要件をヒアリングし、カスタマイズした提案書を持参できるよう準備を進めます。

【A・Bランク】まだまだ顧客へのメール・資料送付戦略

A・Bランクの見込み客には、メールを中心としたフォローアップを展開します。初回のお礼メールの後、3日~1週間後に追加情報を提供するメールを送ります。この際、相手が展示会で関心を示したテーマに関連する事例資料、技術資料、比較表などを添付し、具体的な価値を提供します。

Aランクには、2週間後にさらにフォローメールを送り、「導入検討の状況はいかがですか」「ご不明点があればお答えします」といった形で対話を促します。Bランクには、月に1回程度のペースで、プレッシャーをかけすぎない範囲で有益な情報を提供し続けます。ホワイトペーパー、ウェビナー案内、業界トレンド情報など、営業色の薄いコンテンツも効果的です。

【Cランク】長期育成が必要な層への継続接触方法

Cランクの見込み客は、今すぐの商談化は難しいものの、将来的に顧客となる可能性を秘めています。これらの層には、長期的な関係構築を目的としたナーチャリング(育成)施策を展開します。月1回程度のニュースレター配信、四半期ごとの事例紹介、セミナーやイベントへの招待など、継続的な接点を保ちます。

重要なのは、売り込み色を抑え、相手にとって有益な情報を提供し続けることです。業界の最新動向、法規制の変更、技術トレンドなど、相手のビジネスに役立つコンテンツを届けることで、「この会社は有益な情報を提供してくれる」という印象を形成します。そして、相手の状況が変化したタイミングで、真っ先に思い出してもらえる関係性を築くことが目標です。

DM・手紙・SNSなど複数チャネルの組み合わせ方

メールだけでは埋もれてしまうケースも多いため、複数のチャネルを組み合わせることで接触率を高めることができます。特にSランクやAランクの重要な見込み客には、手書きのお礼状を郵送することで、他社との差別化を図ることができます。デジタル全盛の時代だからこそ、アナログなアプローチが印象に残ります。

また、LinkedInなどのビジネスSNSでつながり、相手の投稿にコメントするなど、軽いタッチポイントを継続的に持つことも効果的です。展示会で撮影した写真を送る、業界レポートをDMで送付するなど、多様なチャネルを活用することで、見込み客との接点を多層的に構築できます。ただし、しつこくならないよう、適度な頻度と節度を保つことが重要です。

すぐに使える!展示会フォローメールテンプレート集

効果的なフォローメールを毎回ゼロから作成するのは時間がかかります。ここでは、すぐに使えるメールテンプレートを、送信タイミング別に紹介します。これらをベースに、自社の状況や相手の特性に合わせてカスタマイズすることで、迅速かつ効果的なフォローアップが可能になります。

テンプレートは「型」として活用し、必ず相手との会話内容や関心事項を反映させた個別化を行いましょう。一斉送信感のあるメールは開封率も返信率も低くなります。相手の名前や会社名はもちろん、具体的な会話の内容に触れることで、パーソナライズされた印象を与えることが重要です。

【当日~翌日】お礼メールの例文と件名の書き方

 

件名:【〇〇展】ご来場ありがとうございました|株式会社△△

本文例:
〇〇株式会社
△△部 □□様

お世話になっております。株式会社△△の◇◇です。

本日は「〇〇展」の弊社ブースにお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。

□□様がお話しされていた「××の課題」について、弊社の〇〇ソリューションがお役に立てるのではと考えております。

ご参考までに、類似の課題を解決された事例資料を添付いたします。ご検討の一助となれば幸いです。

ご不明点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

件名は展示会名を明記し、どのイベントのお礼かを明確にします。本文では必ず具体的な会話内容に触れ、相手が「自分のために書かれたメール」だと認識できるようにすることがポイントです。

【3日~1週間後】追加情報提供メールの構成

 

件名:【追加資料】〇〇に関する事例のご紹介|株式会社△△

本文例:
〇〇株式会社
△△部 □□様

お世話になっております。株式会社△△の◇◇です。

先日の〇〇展では貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

□□様がご関心をお持ちだった「××の効率化」について、参考になる情報がございましたので、お送りいたします。

・導入事例:A社様における業務時間30%削減の実績
・技術資料:〇〇システムの詳細仕様
・比較表:従来手法と新手法のコスト比較

もしご興味がございましたら、オンラインでのご説明も可能です。ご都合の良い日時をお知らせいただけますと幸いです。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

追加情報メールでは、相手の関心事項に直接関連する具体的な資料を提供します。また、次のアクション(オンライン説明会など)への導線を設けることも重要です。

【2週間~1ヶ月】継続フォローメールのパターン

 

件名:【〇〇展フォロー】ご検討状況の確認|株式会社△△

本文例:
〇〇株式会社
△△部 □□様

お世話になっております。株式会社△△の◇◇です。

先日お送りした資料はご覧いただけましたでしょうか。

その後、〇〇導入のご検討状況はいかがでしょうか。もしご不明点やご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

また、来月〇日に「××セミナー」をオンラインで開催いたします。同じ課題をお持ちの企業様の事例もご紹介しますので、よろしければご参加ください。
▶セミナー詳細・申込:(URL)

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

継続フォローでは、しつこくならない程度に状況確認を行いつつ、セミナーやイベントなど、営業色の薄い接触機会を提供することで、関係を維持します。

開封率・返信率を高める文面作成のコツ

開封率を高めるには、件名の工夫が不可欠です。展示会名を明記する、具体的なメリットを示す、パーソナライズ要素を入れるなどの工夫が有効です。「【〇〇展】」という表記は、相手の記憶を喚起し、開封率を高めます。

返信率を高めるには、明確なCTA(Call To Action)を設定することが重要です。「ご質問はありませんか」といった漠然とした問いかけより、「〇月〇日の午後はご都合いかがでしょうか」と具体的な選択肢を示す方が、返信のハードルが下がります。また、メール本文は簡潔に保ち、スマートフォンでも読みやすい長さにすることで、忙しいビジネスパーソンからの返信率を向上させることができます。

フォローアップを効率化するツールとシステム活用

展示会フォローアップを属人的な対応から組織的な仕組みに変えるには、適切なツールとシステムの活用が不可欠です。デジタルツールを導入することで、作業時間を大幅に削減しながら、フォローアップの質と網羅性を向上させることができます。

ツール選定の際は、自社の規模や予算、既存システムとの連携可能性を考慮することが重要です。高額なエンタープライズ向けツールが必ずしも最適とは限らず、中小企業にはシンプルで使いやすいツールの方が定着しやすいケースもあります。

名刺管理ツールの選び方と連携方法

名刺管理ツールは、展示会フォローアップの起点となる重要なシステムです。選定のポイントは、スキャン精度、データ出力の柔軟性、他システムとの連携機能の3つです。代表的なツールとしては、Sansan(法人向け)、Eight(個人・中小企業向け)、HotProfile、CamCardなどがあります。

これらのツールは、スマートフォンで名刺を撮影するだけで、自動的に会社名、氏名、部署、連絡先をデータ化してくれます。さらに、タグ付け機能やメモ機能を使えば、展示会での会話内容も一緒に記録できます。データはCSV形式で出力でき、ExcelやCRM、MAツールにインポートすることで、一元的な管理が可能になります。チーム全員が同じツールを使うことで、情報共有もスムーズになります。

MA(マーケティングオートメーション)ツールでできること

MAツールは、見込み客の育成を自動化し、効率的なフォローアップを実現します。主な機能としては、メール自動配信、リードスコアリング、行動トラッキング、シナリオ設計などがあります。代表的なツールには、HubSpot、Marketo、Pardot、SATORI、List Finderなどがあります。

展示会フォローアップでのMA活用例としては、お礼メールの自動送信、ランク別シナリオの設定、Webサイト訪問やメール開封を検知した際の営業アラート、長期ナーチャリングのためのステップメール配信などが挙げられます。特に、B・Cランクの大量の見込み客を少ないリソースで継続的にフォローするには、MAツールが非常に有効です。手動では不可能な規模のパーソナライズと継続接触を実現できます。

CRM・SFAとの連携で営業効率を最大化する

CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)と名刺管理・MAツールを連携させることで、展示会から商談、受注までの一連のプロセスを可視化できます。Salesforce、Zoho CRM、kintone、eセールスマネージャーなどが代表的なツールです。

連携のメリットは、展示会で獲得したリード情報が自動的にCRMに登録され、営業担当者に割り当てられることで、対応漏れを防げる点です。また、フォローアップの履歴、商談の進捗、受注金額などを一元管理できるため、展示会ROIの正確な測定も可能になります。「どの展示会から何件の商談が生まれ、いくらの売上につながったか」を可視化することで、次回の展示会戦略の改善にもつながります。

フェーズ ① 名刺管理ツール ② MAツール (マーケティング) ③ CRM / SFA (営業管理)
役割 データの「デジタル化」 見込み客の「育成」 案件の「進捗管理」
主な処理

・ 名刺のスキャン・データ化

・ 現場でのメモ入力(ランク付)

・ 一括データ書き出し/同期

・ お礼メールの自動配信

・ 興味関心に基づいたスコアリング

・ 確度の高いリードの抽出

・ 商談履歴の記録

・ 売上予測・フェーズ管理

・ 既存顧客との紐付け

データの流れ 氏名・会社名・接点情報をMAへ 興味度(スコア)をCRMへ送る 商談結果を全社共有

よくある失敗パターンと改善策|フォローアップのチェックリスト

展示会フォローアップでは、多くの企業が同じような失敗を繰り返しています。これらの失敗パターンを事前に知っておくことで、自社での実践時に同じ轍を踏まずに済みます。ここでは代表的な3つの失敗パターンと、その改善策を紹介します。

失敗の多くは、「時間がない」「リソースが足りない」という理由で起こりますが、実際には事前準備や優先順位付けの不足が根本原因であることがほとんどです。適切な計画と仕組みがあれば、限られたリソースでも高い成果を出すことは十分可能です。

失敗1:対応が遅くて競合に先を越される

最も多い失敗が、フォローアップの遅れです。「展示会が終わってホッとして、名刺整理を後回しにした」「他の業務に追われて、1週間後にようやくメールを送った」といったケースでは、すでに競合他社が商談を進めている可能性が高く、成約機会を失います。

改善策は、展示会前に「終了後48時間の行動計画」を明確にしておくことです。誰が名刺をデータ化するのか、誰がお礼メールを書くのか、Sランクへの電話は誰が担当するのかを決めておきます。さらに、展示会終了後の2〜3日は他の業務をできるだけ入れず、フォローアップに集中できるようスケジュールを確保しておくことが重要です。「スピードが命」という意識をチーム全体で共有しましょう。

失敗2:全員に同じ内容を送って反応が得られない

2つ目の失敗は、一斉送信による画一的なアプローチです。「効率化のため」と称して、全員に同じお礼メールを送ってしまうと、受け取った側は「大量配信の一通」だと感じ、反応率が大幅に下がります。特に、具体的な会話内容への言及がないメールは、開封されても記憶に残りません。

改善策は、最低限の個別化を必ず行うことです。完全にカスタマイズする時間がなくても、「〇〇についてお話しできて」といった一文を加えるだけで、印象は大きく変わります。また、リードランク別にテンプレートを使い分けることも有効です。Sランクには個別メール、A・Bランクにはセグメント別テンプレート、Cランクには一斉配信と、メリハリをつけることで、限られた時間を効果的に使えます。

失敗3:フォローが途切れて関係が冷える

3つ目の失敗は、初回のお礼メールだけで終わってしまい、その後のフォローが途切れることです。1回のメールで反応がなかったからといって諦めてしまうと、せっかくの見込み客を失います。実際には、タイミングが合わなかっただけで、継続的にアプローチすれば商談につながるケースも多くあります。

改善策は、フォローアップスケジュールをあらかじめ設計しておくことです。「初回メール→3日後に追加資料→1週間後に電話→2週間後に事例紹介→1ヶ月後にセミナー案内」といった具合に、複数回の接触計画を立てておきます。カレンダーやタスク管理ツールにリマインダーを設定し、確実に実行できる仕組みを作ります。また、MAツールを活用すれば、シナリオ設定により自動的に継続接触できるため、対応漏れを防げます。

成功に導く実践チェックリスト

最後に、展示会フォローアップを成功させるための実践チェックリストをまとめます。展示会前、展示会中、展示会後の各段階で確認すべき項目です。

【展示会前】

  • フォローアップ担当者と役割分担を決定した
  • ヒアリングシートとスコアリング基準を準備した
  • お礼メールや資料送付メールのテンプレートを作成した
  • 名刺管理ツールやCRMの設定を完了した
  • 展示会終了後2〜3日のスケジュールを確保した

【展示会中】

  • 名刺交換時にヒアリングシートで情報を記録した
  • 名刺の裏にメモ(関心事項、課題、約束したこと)を記入した
  • 見込み度の高い来場者には次回アクションを約束した
  • 1日の終わりに名刺を整理し、重要顧客を確認した

【展示会後48時間】

  • すべての名刺をデータ化し、CRMに登録した
  • S・A・B・Cのランク分類を完了した
  • 全見込み客にお礼メールを送信した
  • Sランクの見込み客に電話フォローを実施した
  • 営業チームと情報共有を行った

【展示会後1週間~1ヶ月】

  • A・Bランクに追加資料を送付した
  • 反応があった見込み客に個別フォローを実施した
  • 商談化した案件の進捗を追跡している
  • C・Dランクに対する長期ナーチャリング施策を開始した
  • フォローアップの効果を測定し、改善点を洗い出した

このチェックリストを活用することで、フォローアップの抜け漏れを防ぎ、確実に成果につなげることができます。初めて展示会フォローアップに取り組む場合でも、このリストに沿って進めれば、基本的な対応を網羅できます。

展示会フォローアップは、決して難しいものではありません。事前準備、迅速な初動対応、見込み度に応じた個別化、継続的な接触という基本原則を押さえ、適切なツールを活用すれば、誰でも高い成果を出すことができます。

重要なのは、「展示会は名刺を集めることがゴールではなく、スタートである」という意識を持つことです。展示会で得た貴重な見込み客との接点を、着実に商談、そして成約へとつなげていく戦略的なフォローアップを、ぜひ自社でも実践してください。本記事で紹介したテンプレートやチェックリストを活用しながら、自社に最適なフォローアップの仕組みを構築していきましょう。

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著者情報

落合 雅人

Masato Ochiai

落合 雅人

株式会社PromotionInHouse 取締役COO

株式会社PromotionInHouseにてWebマーケティングのインハウス化支援事業を展開。デジタルマーケティング、チームマネジメント、事業開発等のプロフェッショナル。