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製造業が展示会依存から脱却して新規顧客を開拓するデジタルマーケ戦略

投稿日
2026.2.9
更新日
2026.2.9
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製造業の多くが長年頼ってきた展示会は、確かに一定のリード数(見込み顧客情報)をもたらします。しかし近年、「展示会には出ているが商談化率が伸びない」「若手や新規顧客との接点が作れない」といった課題を抱える企業が増えています。

本記事では、製造業が展示会依存から脱却し、安定的に新規顧客を開拓するためのデジタルマーケティング戦略を、実務視点で体系的に解説します。

展示会依存が製造業の成長を止めてしまう理由

製造業において展示会は、これまで有効な営業・マーケティング手段でした。しかし、展示会に依存し続ける体制には明確な限界があります。

まず、展示会リードの多くは「今すぐ発注を検討している顧客」ではなく、「情報収集中の段階」や「名刺交換のみで終わる層」が大半を占めます。その結果、営業現場ではフォローが属人化し、MQLからSQLへの転換率が低下しがちです。

  • MQL(Marketing Qualified Lead)マーケティング施策によって獲得し、一定の関心があると判断された見込み顧客
  • SQL(Sales Qualified Lead)営業がアプローチすべき段階まで検討度が高まった見込み顧客

また、展示会は出展コストや人的リソースが大きく、費用対効果(ROI)が見えづらいという構造的な問題もあります。データを蓄積・活用しにくく、施策改善のサイクルが回らない点も、デジタル施策と比べた際の大きな弱点です。

展示会を否定せず「依存」から脱却する考え方

重要なのは、展示会を完全にやめることではありません。展示会は「顧客との接点を作る手段」としては、今後も一定の価値があります。

ただし、それを唯一の新規顧客獲得チャネルにしないことがポイントです。展示会はあくまでマーケティング全体の一部と位置づけ、デジタル施策と連動させる必要があります。

具体的には、展示会前からWebコンテンツや広告で認知を作り、展示会後はMAやCRMを活用して継続的にフォロー(ナーチャリング)を行います。

  • MA(マーケティングオートメーション)メール配信や顧客行動の記録などを自動化し、見込み顧客を育成する仕組み
  • CRM(顧客管理システム)顧客情報や商談履歴を一元管理するシステム

この一連の流れを設計することで、展示会は「単発イベント」から「成果につながる接点」に変わります。

WEBコンテンツや広告で認知→展示会→MA、CRM→新規顧客の開拓

製造業が取り組むべきデジタルマーケ戦略の全体像

展示会依存から脱却するためには、まずデジタルマーケティング全体の設計が欠かせません。

製造業におけるデジタルマーケは、単なる広告運用ではなく、「見込み顧客を育て、営業につなぐ仕組み作り」です。

具体的には、ターゲット顧客が抱える技術課題や導入検討フェーズに合わせて、

  • 技術解説記事
  • 導入事例
  • ホワイトペーパー(課題整理や比較資料)

などのコンテンツを用意します。

それらを検索、広告、メールなど複数チャネルで届け、行動データ(閲覧、資料DL、問い合わせなど)をもとに、見込み度合いを可視化していきます。

新規顧客開拓を支えるコンテンツ設計のポイント

製造業の新規顧客開拓では、売り込み型のコンテンツはほとんど機能しません。重要なのは、顧客が検討初期〜中期で知りたい情報を先回りして提供することです。

たとえば、製品スペックではなく、

  • どのような課題をどう解決できるのか
  • 導入時にどのような失敗が起こりやすいのか

といった情報が求められます。

こうしたコンテンツを体系的に整理し、検索流入や広告から自然に接触できる状態を作ることで、展示会に頼らなくても新規リードを獲得できるようになります。

弊社の製造業のクライアント様の事例でも、ブログの基本的な記事構成を以下の内容に変更したことで、リード獲得数を大きく伸ばすことができました。

① お客様のお困りごと ⇨ ② 解決方法とクライアント様の技術力

逆に、製品紹介やサービス紹介のページからのホームページへの流入で、お問い合わせに流れるケースは少なく、ブログの記事を確認、その後、製品紹介やサービス紹介のページを確認といったWebサイト上の動きになっていることがデータからわかっています。

MQLからSQLへつなげる仕組みづくり

デジタル施策でリード(見込み顧客)を獲得しても、営業につながらなければ意味がありません。そこで重要になるのが、MQLとSQLの定義と運用ルールです。

製造業では、「とりあえず名刺を取ったら営業に渡す」という運用が残っているケースも少なくありません。しかしデジタルマーケでは、

  • Web閲覧履歴
  • 資料ダウンロード
  • 問い合わせ内容

といった行動データをもとに、顧客の検討度合いを判断できます。

この情報を営業と共有し、適切なタイミングでアプローチすることで、商談化率は大きく改善します。

インハウス化を前提とした体制設計の考え方

展示会依存から脱却するためには、マーケティングを外注任せにせず、社内に知見を蓄積する体制も重要です。

すべてを内製化する必要はありませんが、

  • 戦略設計
  • KPI管理
  • データの解釈

といった意思決定領域は社内で担うことが、長期的な成果につながります。

そのためには、マーケティング担当者を「広告運用者」や「制作ディレクター」ではなく、事業成長を支える役割として位置づける必要があります。

弊社の事例でも、戦略設計の部分は製品、サービスへの深い理解が必要にもなるため、外注人材よりもマーケティング担当者が担う方が効果がでやすいです。専門家に外注する部分と社内の担当者で対応した方が良い部分と分けて実施することが成功の鍵になります。

よくある失敗パターンと回避策

展示会依存からの脱却を目指す中で、多くの製造業が陥る失敗があります。

  • 広告だけを始めてコンテンツが不足している
  • 営業とマーケの連携が取れていない
  • 短期成果だけを求めて施策を止めてしまう

これらの失敗は、事前に全体設計とKPIを明確にすることで回避できます。重要なのは、「今どのフェーズにいるのか」を正しく認識することです。

弊社クライアントさまでも、ホームページからのお問い合わせ(リード獲得)は大きく伸ばせたものの、その後の営業への連携と、営業の対応状況の可視化ができず、施策に対する最終的な費用対効果がでせないという事象がおきていました。

施策自体を評価するためにもできる限りマーケティングと営業が力を合わせ、お問い合わせから案件受注、失注までは管理することが非常に重要になってきます。

まとめ:展示会に頼らない新規顧客開拓を実現するために

製造業が展示会依存から脱却し、新規顧客を安定的に獲得するためには、デジタルマーケティングを単なる施策ではなく「仕組み」として捉える必要があります。

展示会・Web・営業を分断せず、一貫した顧客体験を設計することが成功の鍵です。

もし、「何から手をつけるべきかわからない」「自社だけで進めるのは不安」と感じている場合は、まず現状を整理することから始めてみてください。

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著者情報

別府 大樹

Daiki Beppu

別府 大樹

株式会社PromotionInHouse 代表取締役CEO

株式会社PromotionInHouseにてWebマーケティングのインハウス化支援事業を展開。生成AI、プログラミング、マーケティング、プロダクト開発のプロフェッショナル。